オーストラリアンワールドチーズ <前編>

この地シドニーに続き、今年は、第一回開催国である、ギリシャで2004年アテネオリンピックが開催されました。

日本は近来にない大活躍で、日本国民は大いに盛り上がりましたが、次回は2008年の北京オリンピックです。

すさまじい経済成長を推進する中国での開催の意義は大きく 世界中から大きな期待がよせられ、世界各国から訪れるお客様の《食》への期待もまた高まる事でしょう。

日本のチーズは実はオリンピックを契機に広まっていったのです。

東京の青山に高級スーパーマーケット紀ノ国屋があります。

紀ノ国屋は 外国人の利用が多いインターナショナルなスーパーマーケットで、チーズの品揃えで有名な店です。

フレッシュ系だけでも100種類以上、ワインの売れ行きと歩調を合わせてここは着実に売り上げを伸ばしていると言います。

聞けば、日本で初めてナチュラルチーズを輸入したのがこの紀ノ国屋で、それは 東京オリンピックが開催された1964年(昭和39年)の事だそうです。

当時、チーズは一部の外国人客以外にはほとんど売れず、売れ残ったフレッシュタイプのチーズは泣く泣く廃棄処分にしたそうですが、今、日本のスーパーマーケットはどうかと申しますと300種に及ぶナチュラルチーズが、どんな小さいスーパーマーケットでも売られています。

チーズが食品として日本人の食生活の中に完全に定着して来た証拠といえるでしょう。

圧倒的に売れているのは「カマンベール」や「ブリー」といった白カビタイプで、くせのない比較的食べやすいところが好まれている理由ですが、クセのある青かび系やシェーブルとなると、銘柄指定で買い求める客が多い様です。

ここまで来ると相当食べなれた客ということになりますが、私も最初はブリーから入りました。

40年近く前の話になりますが、当時はブリーかカマンベールしか食べられなかったし、これが一番食べ易かったからで、味の強いロックフォールとバター を一緒にほおばったり、匂いの強烈なウォッシュでものめり込む、若い料理人仲間にはいたものでした。

それは皆が少しでもフランスかぶれになりたくて、一生懸命だったからだと思います。

チーズを好きになるには、広く浅く食べるより1つの銘柄を掘り下げていって、ゲップが出るほどにとことん食べてみることです。

同じ銘柄でもメーカーごとの違いがあるし、熟成の度合いで味わいは色々変わるからです。

一回に200g~300g位食べ続けていると、ある程度食べないと食べた気がしてこなくなります。

ブリーやカマンベールは確かに食べ易いですが、口当たりが良い分だけ味わに巾がありません。

そのうちに物足りなくなって、より複雑で暴力的な味に惹かれて行くものなのです。

また、チーズは他の素材と合わせる事で、違った味わいが生まれてくるので自由な発想でいろいろな組み合わせを試してみると良いと思います。

今日の話のテーマと言えるのですが、チーズと料理の、その応用編としてフレッシュタイプのフロマージュブランや比較的くせの少ないシェーブルに、ハーブやスパイス、それに白ワインを混ぜ入れてチーズペーストを作ってみてはどうでしょうか?

にんにく等を少し加えるのも良いかもしれません。

こんなチーズの使い方がフランスの家庭では良く作られている方法です。

これをパンや野菜にぬって食べているわけです。

また、青カビチーズに甘いリキュールを垂らしたり、フレッシュタイプのチーズにマールやカルバドスをかけてヨーグルトの様にして食べる方法もあります。

それをパンに塗って 無花果やアプリコット、レーズンなどのドライフルーツをトッピングすれば、かすかな酸味と甘みの加わったカナッペの出来上がりです。

それからフレッシュフルーツを 組み合わせるのも良いでしょう。

洋梨や無花果にゴルゴンゾーラや、ロックフォールを合わせ甘口のデザートワインを添えて食べてみて下さい。

新しい味の発見になります。新しい味の発見でもうひとつ申しますとチーズに蜂蜜、チーズにドライフルーツ、と言うのは、もはや定番となっていますが、フルーツを合わせるならばそれのジャム でも当然合うはずです。

スペインの国境近くフランスのピレネー地方には、羊のチーズにチェリーのジャムを合わせる昔からの習慣があり、ここの農場で働く青年がフルーツに合うスパイスを加えた、「Les Folies Fromage」訳すと、クレイジーチーズ というチーズの為のジャムを売り出したところ、今、日本で人気になっています。

チーズに相性の良いスパイスをジャムに加えているのがこのジャムの特徴ですが、パンとチーズワインとチーズ だけではないたくさんの面白い食べ方がある という事を知っていただけたらと思います。

私は新しい提案として”お茶”とのマリアージュをお薦めしたいと思います。

お茶は時間を選びませんし万人が飲むことが出来ます。

午後のティーブレイクにチーズとジャムというのはどうでしょうか。
<後編に続く>

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